2018東京黒百合小品展総括 長谷川 脩
搬入日、岩田さん(大谷さんの娘さん)が絵を 抱えて来られた。「父が退院したばかりで無理な ので」とのお話。2 回目の脳梗塞が起こり、今回 は言語中枢が機能しにくくなったとのこと。絵を お預かりしたがすっかり動転してしまった。 今年は様々な理由で辞退される方が多く、 最終 的に 25 名 53 点の出展となった。大谷さんの作品 が出展に間に合ったことは本当に良かった。一刻 も早く快癒されることを願わずにはいられない。 受付をしていると「懐かしいですね」と声をか けてくれる方が何人かいた。入口すぐの壁に飾ら れた清水さんの札幌の風景画を観ての感想だっ た。札幌での個展も盛況だったようで、その勢い が今回の会場にも持ち込まれていた。 最終日、芳名帳を見ると来場者は昨年より 3 割 近くも少なく、残念に思っていたその時、若い一 団がにぎやかに来場した。慶応義塾大学湘南藤沢 キャンパスの学生達で、アフリカからの留学生の ウェルカムパーティーを行う前に立ち寄ってくれ たとのこと。一気に会場が華やかな空気に包まれ た。連れてきてくれたのは同大学の先生をされて いる長谷部さんの娘さんだった。帰り際、「学生 達もきっと絵を描きたいと思ってくれたことでし ょう」と話してくれた、、、、
芳名帳の余白に「案内状送付希望」と 2 件ほど 書かれていた。次回から送付希望の欄を設けるよ う変更したい。また記帳する際、紹介者欄があれ ば一緒に記入してもらえる、とも思った。 今回の出展者は東京黒百合会の全会員のうちの 約 6 割で、残り 4 割の会員にどう広報活動をして いけばよいか重い課題となっている。秋の黒百合 展に向けた大作一点だけではなく、日頃の活動で 手掛けた作品を気軽に出せる展覧会として、活用 してもらえるよう考えていきたい。 また、出展者の減少は、出展料に直接跳ね返っ てくる。そのため、出展料だけに依存するのでは なく、その他の収入源の検討も必要かもしれない。 例えば、作品のコピー(ジークレー版画等)や絵 はがきを制作し会場で販売するなどの試みをして みてはどうだろうか。 今回、打ち上げパーティーは出来るのかと心配 する声が寄せられたが、多くの差し入れを頂いて 何とか最後を締めくくることが出来た。心からお 礼申し上げます。
清水さんに個展とその後の近況をお願いした。
小品展に寄せて 清水 全生
昨年 11 月札幌で、高校の同期生と 5 人展を行 った。一週間の会期でしたが多数の友人、仲間に 会うことができ、感謝、感激の日々だった。そし て、色々な感想、意見を聞くことが出来て、人に 見ていただくことの大切さを改めて実感した。 この会期中に久し振りに札幌市内、北大構内を 探索する機会を得た。同期 5 人の内 1 人の女性か ら、北大構内のエルムの老木をモチーフに毎年描 いている話を聞き、展示中の老木とクロユリの自 生地近くのポプラ並木、第 2 試験農場他を見て回 った。更に、10 年程前に住んでいた北 24 条のマ ンションを確認し、近くの美味しいスープカレー の店に立ち寄り懐かしい思いでした。外は時折り の雪で寒かったが、心と胃袋が暖まる一日でした。
今回の小品展では、この時に散策した雪の札幌 シリーズから3点出品した。個人的には「北大ポ プラ並木」が気に入っている。近年倒木の危険が あるポプラに冬でも生命力の逞しさを感じ遠く琴 似方面の雪景色と共に上手く描けたと思っている。
また、小品展の絵の配置では、入り口付近には 大きな物より小品で収まりが良いとのことで置い ていただき、来場者には札幌ゆかりの人が多いこ とから目を引き、立ち止まっていただいたと思う がありがたいことでした。 小生は未だ画風が定まらず、日々試行継続中で すが、特に、細い筆を使い過ぎるのを反省してい る。先輩達の絵の様に油絵らしい筆のタッチを生 かしたものに、何時になったら近づけるかと思い 悩むこの頃である。