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相互講評


「北京郊外青空修理屋」 水彩 F4
「北大構内自転車爆走」 水彩 F4  青木康明
講評:渡辺理枝
・中国の絵は昭和の光景と重なるものがあり愁しく感じました。特に働く女性達の逞しさが伝わってきました。
・自転車爆走の絵では北大生らしき若者の後ろ姿が生き生きと描かれていて、いい絵だなと思いました。木々の緑も美しく爽やかです。二作品共に色彩もクリアで丁寧に仕上げられていると思いました。


模写「ヴェトゥイユの眺め」パステルF4 阿部保彦
講評:青木康明
作品何点かのうち、クロード・モネの「ヴェトゥイユの眺め」の模写が一番印象に残りました。ものの本によると、モネは物の固有色ではなく、日光やその反射を受けて目に映る「印象」をキャンバスに再現することを追求し、絵具を素早い筆さばきでキャンバスに乗せていき、明るく臨場感のある画面を作り出したそうですが、そういう明るさや色彩がパステルで見事に再現されているように思いました。


「谷川岳八景3番」 油彩 F20  石川三千雄
講評:阿部保彦
 やっとたどり着いた目の前の谷川岳の若葉に囲まれた美しさ、それに心を奪われたその瞬間の「心象」を、そのまま画面にぶつけていく。眼前の景色を借りながらも、形も色も変えて描いていく。その自由さがうらやましいです。でも、昨年の「棚田から妙義山を見る」に比べて、形も色もかなり大人しくなっているのが残念でした。

「旅の街角」 テンペラ油彩混合SM  采 孟
講評:石川三千雄
リスボンの街の一風景で「旅の街角」という20cm×30cm角の小さな絵ですがまとまりがあり、しばらく見入っていた。「テンペラ」という油彩混合という意味が「中世の教会の技法」とかで、玉子の白身で白い粉をとき、絵具で描くとか。初めて見ました。


「谷川岳」  パステルF20   江澤昌江
講評:采 孟
水の勢いと水面の美しさ、そして自然に秘められた色彩が力強く引き出され、遠景の谷川岳と空の静けさとの対比がとても印象的です。私にとっては今回の展示の中でもっとも惹きつけられた作品です。


「会津風景」 油彩アクリル併用F30  大谷芳久
講評:江澤昌江
大谷さんは搬入前日まで描いていた。サインもまだ入っていないとニコニコしている。今回に限らず大谷さんの絵はたいてい出来たてホヤホヤらしい。そんな勢いのままに会津風景は、軽やかに空と街が広がっている。その中を吹きわたる風と朝の光が、描かれている雲や街並みの姿かたちをかりて伝わってきました。


「手賀沼の白鷺コロニー」 油彩F30  奥野嘉雄
講評:大谷芳久
ひろびろとした沼の手前の波消杭に多数の白鷺が止まっている。のどかな風景が良く描けています。ひとつひとつの白鷺の動きが大変面白いのですが、白鷺が等間隔に描かれているのと、白鷺の色の白がどれも同じように見えるので、もう少し間隔を変えたり、白色に違いがあれば絵にひろがりができ、動きもでるのではないでしょうか。

 

 


「家路を急ぐ-隅田川のモーターボート」「浜の一隅-ベイスターズの街」 写真A2     尾中健二郎    
講評:奥野嘉雄
 写真アートの素晴らしさは「一瞬のリアリテイ(動き)が表現できる」ことにあると思います。作品の2枚は眞に波動のダイナミズムや街角の躍動感が捉えられていて、表現力の上手さを感じます。街角の作品では人の動きもあれば、なお、面白いかなと思います。
(作品のコメントが無いのが残念)。


「地に顕れて」 油彩 F30   小野公平
講評:尾中健二郎
この絵の前に立ち、まずカンデンスキーのコンポジションシリーズが彷彿とさせられた。沖縄戦の末期の沖縄の岸壁のスケッチから描きおこされたとの事、作者のその時の深い思いが伝わり、良く観察するとあちこちに顔や腕等々が見られ、深―い意味が迫り、さらに豊かな色調で印象深い作品になっている。

「SPACE」          墨絵       120号              笠木玉泉   
講評:石川三千雄 
 SPACEとは、空間、場所、宇宙という意味を表す。一見した時に感じたことは、人間の身体の中の内臓かなと思った。特に白黒の表現のみのため、写真の如く感じた次第です。


「秋の里」 油彩 F20    笠原 寛
講評:江澤昌江
 笠原さんは信州の人だから山は身近なものだろうと思う。四季折々、朝に夕に、晴れた日も荒れた日も山の気配は自然なもの。山里の風景は何げないどこにでもありそうなと言いながら現代では失われつつある。描かれた景色には人々の生活があって、そのあたたかさが魅力と思います。

 

「谷戸の秋」 油彩 F20      鏑木照美
講評:細井真澄
武蔵野の面影を残す原風景の一画を見事なタッチで描き取った秀作だと思います。手前のすすきの白い穂先がとても画面を引き締め、背景の雑木林との奥行きを引き出しており、印象派の作風を感じさせます。又むずかしい緑の色彩を秋の紅葉のオレンジ色と調和させ、その色調を対比させる事によって見事に描き切った、すばらしい作品だと思います。


「願いよとどけ」油彩F10「絵のある風景」油彩 F10 木綿弘子
講評:鏑木照美
2点とも赤が印象に残る作品でした。「絵のある風景」は絵の中に絵を入れて描くという発想が素晴らしく、「願いよとどけ」は人物が一人だけ描かれているが赤いバックが印象的な心に残る作品だと思います。会展を見に来た高校3年生の孫が一番印象に残った作品は「願いよとどけ」だと言っておりました。


「時計台(1974)」油彩 F10
「時計台」アクリル F10      桑山雅子
講評:木綿弘子
なつかしい時計台の昨今。レクイエムにのっていた美智子さんはクラーク会館での黒百合展でお会いしただけですが、本当にびっくりしました。北大生になりたての頃の自分が思い出され、とてもせつない気持ちになりました。明るい時計台にすくわれます。


「護法神像」油彩 F4  

「広目天像」油彩 F4
「あの日の「誓い」今いずこ」油彩 F20 小石広治
講評者:桑山雅子
「あの日の「誓い」今いずこ」の女性は涙を流している。これは心象画で行進の若者たちも心で泣いているのだ。これは未来にこんな風景が起こってはならないと願う作者の思いであり、『護法神像』『広目天像』の「憂いと怒り」の表情にその思いを託していると思う。3点の筆圧と色彩の力強さに迫力があり、今を戦前にしてはいけないという渾身の絵であり作者の願いだ。

「偶然が織りなす剥き出しの構造物」


デジタルアート P20     後藤一雄
講評:小石浩治
題名の「剥き出しの構造物」とは、ビルやビル等を支える色々な鋼材部分を指すらしいが、画面ではよく分からない。画面の赤い線を辿ると、中央のビルの右上階フロアーが、隣のビルのフロアーにそっくり入れ替わろうとする所がある。しかし、それは「偶然」の現実事象とは思えないので、他に何かと探すのだが、デジタル音痴の小生には見つからなかった。AIやDX等が当たり前になっていく社会の隅で、具象を中心に描く時代遅れの小生には、右上隅に覗く「青空」が唯一の救いだった。       


「垂直」    日本画 A3    嶋﨑明代
講評:後藤一雄
作者コメントによると、自分をタケノコに見立て、現在の心境と未来への希望を表現したもと受けとりました。淡い色彩の中から天に届いた「それ}は、今後どうなっていくのか見守りたい。話は、変わりますが、高齢化が進む当会としては、初出品くださった若い島崎さんには、たいへん感謝しています。
今後とも気楽に作品を出品する場としていきましょう。

「菜の花と筑波山」 油彩 F20
「黄色のバラ」 油彩 F8      清水全生
講評:嶋崎明代
・筑波山のまさに菜の花の頃の山肌の色が描かれています。季節の香り、さわやかな空気を感じます。人、鳥が自然の中に溶け込んでいて、散策したくなります。
・バラの花びらの繊細さがとても感じられます。葉やクキの緑が丁寧に描かれています。花器とテーブル、背景の色づかいがシックでバラをひきたてています。


「岬の岩の波」  「由利が岬の初冠雪」    両作品共:油彩F15        染川利吉     
講評:清水全生
海象風景として海、岩肌、波等の色、形も良く、巧く描けているのはさすがと思いました。特に、遠方の半島、灯台、航行する船舶等、寄せる波、岩に砕ける波しぶき等全体的にバランスが良い絵と思います。ただ、近景の岩が画面下方に大きく占めていて、もう少し変化を付けた方が良いのではと思います。初冠雪の方は、緑の山肌に大胆にも全体に白を被せた豪快な絵と思いましたが、少し雪の積もり具合にも濃淡があっても良かったと思います。酷暑の秋に涼しさを感じることが出来ました。


「セロームその後」アクリルとオイルパステル F10 西村幸二        

講評:染川利吉
ピカソは自身の絵が分からないといった人に、朝小鳥が鳴きかわしているのを聞いて意味が分からなくても心地よくなりませんか、と答えたという。氏の作品を見て、私はこのピカソの言葉を思い出した。絵は、言葉を介さずに、視覚のみを通して直接人の心に入ってくる。氏の作品もこの姿勢で鑑賞したいのですが、私の貧しい視覚ではあまりピンとこないのが残念です。


「星砂の浜」  油彩 P10   長谷川 脩
講評:西村 幸二
ほとんど風景画は描いたことがないので講評はできかね鑑賞・感想。岩礁と砕ける白波。浜には小川…釧路市の益浦海岸の短い夏のガス(海霧)がはれた日の光景を思い起こされた。「星砂」は画面左手前の飴色のところとあたりをつけ、ネットで西表島星砂の浜の画像より確認。ついでに50余年も前に訪れた岩手県宮古市の「浄土ヶ浜」の白砂の画像へ。


「水上温泉」  アクリル F15   長谷部 司
講評:長谷川 脩
今年の写生会の水上温泉、初日は雨で谷川岳は雲に隠れていた。翌日は快晴。ポイントを探しに利根川沿いを下ると、長谷部さんが既に三脚を立て描いていた。声は掛けずその場を離れた。現場の空気感を感じながら描き込もうという意気込みを感じた。山ではなく高速道路の橋桁を中心に据え、雨上がりの新緑を画面一杯に描き込んだ意欲作である。この意気込みがある限り、絵は更に深化を遂げられことでしょう。

「雪国NOW」  油彩 F30   樋口正毅
講評:長谷部 司
今回は構図が大きく密度の濃い色彩豊かな力作に脱帽。現代の日本の温泉場を俯瞰した雪国の雪景色で、中央には立派なビルが乱立し、舗装された道路には一台の車が走るだけ。俯瞰した雪景色で思い出すのは16世紀のフランダースの画家ブルーゲスの「猟師達の帰還」。小さな教会の尖塔が立つ村に向かって家路を辿る素朴な猟師と犬達の一群が描かれた名作。日本の「NOW」に思いを巡らさざるを得ませんでした。

「谷川見ゆ」水彩F8 「谷川岳より」水彩M8 福林紀之
講評:嶋崎明代
・谷川岳をのぞむ木々、水辺のにおいまで感じられます。水辺の深い青、岩肌とのコントラストがまるでそこに立っているように感じます。
・大きな筆づかいが、谷川岳、それぞれの山肌の凹凸を感じさせます。それぞれの山の名称が書かれていて、興味深いです。

「北海道賛歌」  油彩 F20   細井真澄
講評:福林紀之
北海道の絵だ!いいですね。どこかで見た光景だ。
そうだ。われらが寮歌“都ぞ彌生”の第4番だ。『牧場の若草,陽炎燃えて、森には桂の新緑萌し、雲行く雲雀に延齢草の、真白の花影さゆらぎて立つ、今こそ溢れる清和の光,小川の辺りをさまよい行けば、美しからずや咲く水芭蕉、春の日のこの北の国幸多し…」あの頃は本当に楽しかったなあ。そんな感激を与えてくれる絵です。

「雪解けの沢水流れ谷川に」 油彩   F50     「草木の秋色そむる池の畔」   油彩    F15           牧野尊敏
講評:細井真澄
北大山岳部OBの先輩が「谷川岳だ」と言って、しばらく立ち止まり絵を眺めておりました。実に悠然とそびえたつ谷川岳の姿に感動していたのだと思います。そしてそこから湧き出る水が又すばらしいタッチで描き込まれ、こちらに向かってあふれ出して迫り、静寂と緊張感を感じるすばらしい絵に仕上がっております。又横に並ぶ絵は清らかな池の畔をみごとに描き切った傑作です。

「谷川岳遠望 上牧から」アクリル   F10 「谷川岳遠望 笹笛橋から」アクリル    F10   森典生
講評:牧野尊敏
森さんの絵は、アクリルを使い慣れているレベルで、油彩画と遜色ない。雪山の表現は素晴らしく単独絵としてまとめられてもよい絵と思う。絵はどこをポイントにするかは作者の考えによるが、森さんの絵は山を強調しているので、目の前に迫る迫力を感じる。私の感想で恐縮であるが、麓を入れる絵としては、近景を粗く強く表現すれば、山と麓が一体化し、まとまった絵になるように思った。

「MIMI」 「コトルの路地」 油彩 F6 渡辺理枝
講評:森 典生
MIMI:独自の技法で愛ネコMIMIちゃんを印象的に浮かび上がらせ白黒の左右対称の美しさを注意深く丁寧に描きあげているのに感動させられる。
コトルの路地:古い石造りの建物の入り口は非常に強固ですが線描、着色とも欧風の特徴を強調して表現されているのが素晴らしい。壁だけを描いても絵になる光景にしばしば出会うがこの作品の構図は堂々としている。看板は大切なアクセントになるので輪郭をしっかりとらえて描かれているがよい。

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