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執筆者の写真東京黒百合会

江木さんを偲んで

江木 博氏:2020/12・3逝去


(上写真:2017年10月第54回会展)


江木さんを偲んで ・・・  建脇 勉

 江木さんは私の三歳上の先輩である。水彩専門で大作を多数描いておられた。私もそうだが加藤文男さんに誘われて、公募の大洋会の会員である。本展には花や風景のモチーフの50号の大作を出展されていた。もう十年以上前からだろうか、三崎町諸磯のホームに入居されていて、大作は描きにくいのではと想像し、立派だなと思っていた。どちらかと言うと無口な方で、あまり対話をしていない。

 思い出として、合評会で議論したことがある。当時の合評会は絵画論や手法など、個性的であったのだが、その場に八ヶ岳を描いた作品を出された。そのスケッチポイントは、私も再三描いた場所でよく知っていたので、「構図が良くない、山を大きく林は抑えるべき。」と批判した。それに対し、江木さんは「描きたいように描いたのだ。」と反論されたことを思い出す。

  心からご冥福をお祈りします。



 2003年大洋展「昼下がりのマルチーダ島」


   2006年・大洋展「白樺湖畔」


江木博さんを悼んで ・・・ 牧野尊敏

 江木さんが本展のときにご高齢にもかかわらず三浦半島から会場まで足を運ばれていて、

そのときにお会いするのみでしたが、若い頃の江木さんは存じませんでした。お会いするといつも体の不安を抱え弱気な発言をなされていましたが、よく上京されましたねと言いましたらリハビリのつもりだとおっしゃっていたのが印象に残っています。 

緑内障を患っておられ正常な片目だけで生活されていたようです。この状態で立派な絵を描いていたわけで、その努力と情熱には敬服し、本会に対する熱意とその思いを感じたものです。 

 絵は柔らかいタッチで癒し系のほんのりした雰囲気をもった水彩画で、江木さんの人柄を表しているように思いました。実は、江木さんは私が勤務していた会社の上司の弟さんだという事を後で知り、その後急に親近感を感じました。

上司の方は100歳前後で亡くなっていますから長寿の家系なのでしょうか。天上で再会されているものと存じます。 

 天上から我々を見守ってください。

 心よりご冥福をお祈り申し上げます。 合掌


 2017年「安らぐ」F20

   

江木さんの生命力 ・・・  江沢昌江

 江木さんと大谷さんは東京黒百合会の水彩画の二つの大きな星でした。今年はとても残念な年です。飄々として楽し気でいつも穏やかな雰囲気でしたが、江木さんの絵は独特で 表現にとても強い意志を感じました。

花の絵でもときにはグロテスクなくらいにもりもりと大きく画面いっぱいに溢れて 不思議な色あいだったり焦点がどこかわからなかったりしました。

 伝わってくるのは自然の生命力のようなものです。数年前にも「江澤さんも50号くらい描かないとダメだね」とニコッとしながらおっしゃいました。反省…。石垣と桜の絵や、あじさいなどの花、色々思い出されますが、最近では「ひまわり」や「小網代の森」(共にF50)の絵がとても素晴らしかったです。

 昨年の年賀状には「絵を描くにはまず動き回れと心掛けているのですが」と書き添えてありました。江木さんの絵と生命力をあらためて尊敬します。


2016年「ひまわり」F50


    2019年 「小網代の森」F50


江木さんを悼む ・・・  小石浩治

 平成23年に、カルチャーセンターの先生から「自分の絵を描きなさい、それに徹すれば必ず見る人に感銘を与える作品になる」と励まされ、ますますご自分の絵に磨きをかけ独自の画風確立に専心されました。それでもなお、「自分自身、絵に溶け込んで納得できるためにはどうあるべきか、どう努力すべきか」と悩み、近年も「齢を重ねると、絵に力がなくなり、絵も続けられないのではないか。私にとって絵は何であろうか」と、まるで絵の本質を追い求める求道者のようでした。 

 ご家族によると、病床にあっても、病室の天井に向かい、指で風景を描いていたそうです。

どうか 安らかにお眠りください。


     2000年・初出展「断崖のヴィエステ」


   2010年48回展「兄弟船」F20

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“私にとって絵は・・深い霧の中、何かを求めて 何かを見つけ出すべく歩くような

ものかも知れない。僅かづつでも霧が晴れて新しい広がりに繋がるものを期待しながら・・・“   江木 博


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編集後記

お知らせ

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