私のモチーフ
- 東京黒百合会
- 7月5日
- 読了時間: 2分
(2025/07)小野 公平
イラストと絵本制作に時間を費やしています。人生晩年になって美術大学油彩学科で絵画を学び直し、その教養課程で表現手法としてのイラストを学びました。課題作品のイラストは、幼少期終戦直前の疎開先の甲府市で焼夷弾の雨を潜った体験を描きました。後年大学時代は授業をボイコットしてデモに参加した全学連世代、今はそんな自分史も遠い過去になり、また日本と世界の戦後史も他人事としか眺められない無力をかこつ世代です。そして私の現在の作品のモチ-フは、そうした自分史と周辺を物語にして表現しています。近作絵本2本を紹介します。
「キジムナ-の追憶」2020年8月 文芸社出版
この絵物語の制作は、2000年にたまたま訪れた沖縄県中北部の離島・伊江島において、敗戦を知らずに、ガジュマル樹上で2年間潜んでいた「二人の日本軍残存兵」の史実を知ったことから始まりました。この島には『ロミオとジュリエット』を思わせる近隣の島人同士の悲恋物語もありました。こうした史実を背景にこの絵物語では伊江島発の『命こそ宝ヌチドウタカラ』の願いを、ガジュマル樹林に棲む精霊『キジムナー』に語らせました。

「プ-チンの戦争を憂う犬と狐の物語」2024年10月 パレ-ド出版
長引くウクライナ戦争を憂う霊孤と秋田犬の物語です。霊孤は日本の神社の守護神と栃木県那須の火山灰地に伝わる九尾を持つ狐伝説を題材にしています。秋田犬は日本の首相がプ-チン大統領が来日時に贈呈した『あきたいぬゆめ』のその後を創作しました。
本書は、ウクライナ関係の方々のご協力を得ており、ウクライナキ-ウの日本文化センターに所蔵されています。

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