高雄の夜市
会津 光晨
今年(2020年)のはじめに台湾を旅する機会があり、幾つかの夜市を訪ねてみた。
熱帯や亜熱帯地域においては、昼間の暑さを避けて比較的涼しい夜に開かれる夜市は庶民の生活の場、憩いの場として発展してきた。
台湾には夜市が400ほどあるといわれ、重要な観光資源ともなっている。今回は台北、高雄、屏東などの夜市を歩いてみた。
大戦後、台湾では夜市が都市の交通面、環境・衛生面等から社会問題となり、取り締まりが強化された時代があったが、民主化が進められる中で夜市は再び活気を取り戻してきたという。安価で気軽に行ける夜市は台湾の市民に支持されているようだった。
高雄市では六号國際観光夜市に出かけてみた。昼間は交通量の多い通りだが、夜になると様相を一変させる。歩行者天国となり両側の屋台には灯りがともり沢山の人出があった。屋台を覗きながらブラ歩きし、好きなものを買って中央に置かれたテーブルで食べられる。
六号夜市の様子を絵にしてみた。賑わう通りの夜空を吊り提灯が横切る景色や屋台で手造りしながら対面販売する人達の姿は魅力的だった。
水彩とマーカーでアニメチックに描いてみたが、夜の光を表すのは結構難しいものだ。
台湾から帰ってから急速に新型コロナウィルスが世界中に広がる状況となった。台湾は感染防止対策の初動が素早く、今のところ感染者は最小限に留まっており「台湾の奇跡」ともいわれている。
夜市は一時人数制限が行われたようで、客足は減少しているとも伝えられている。人の密集・密接が夜市の魅力であり、ウィズコロナで求められる「新しい生活様式」においてはしばらく厳しい状況が続くことだろう。
人々が集まり、触れあうことにより、文化や芸術は実りあるものになると思う。世界の叡知を結集して現下のコロナ禍を克服してもらいたいものだ。
(2020年8月 記)
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