札幌での学生生活が遠い過去の思い出となって来てしまいました。今回の私のモチーフはそんな青春時代の一コマを思い出し、描き上げた「時の流れ」と言う題名の作品です。
子供の頃からの大の鉄道ファンで、SLを追いかけて、当時最後までSLが走っていた北海道に内地から海を渡り、やって来ました。特にそのたくましさが発揮されるのは、空がきれいに晴れ渡った厳冬の季節です。よく函館本線の山奥にまで、カメラと三脚を抱えて、C62の重連(山の勾配がきついので2台)で走る蒸気機関車の写真を撮りに出かけました。遠くの方から徐々に、音が大きくなって来て、山をアエギ、アエギ、モクモクと真っ白な煙を上げながら、雪の積もった坂道を駆け登って来るSLの迫力に感動し、その姿に魅了されました。機関士さんが時々、サービスで汽笛を鳴らしてくれました。その音が廻りの山々にコダマして、荘厳な交響楽を、大自然のライブ会場で、たった一人で、聞いている様な至福の一時でした。
凍て付く厳冬の北海道の大地にも朝は必ずやって来ます。将来どんな人生が待っているのか解らず、不安そうな顔をしている猿が私でもあります。この絵を今年の年賀状にしようと思い、鶏を付け加えました。サルからトリ年に主役が交替致しました。夜明けもまじかです。太陽が昇る時に高らかに鶏が鳴き始めます。神鶏とも呼ばれる一番鶏の鳴き声をお届け致します。皆様にとって良き年であります様に心より祈念申し上げます。
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