「利根川とともに」
河川の整備の度合いはどのような基準で測られるのか知りませんが、日本第二の長い河川といわれる利根川はさすがに、堤防などの整備が進んでいるようです。その代わり、両岸の自然が、もとのままの状態で残っていることが少ないのは、やむを得ないことでしょう。 取手市は利根川の河口から、およそ100㎞上流ですが、この付近の左岸の河川敷地は、花畑、運動公園などになっており、その背後にはデパートをはじめ様々な建築物が観られます。また、右岸は、ゴルフ練習場、コースをかこむ樹木も多く、それらが水面に影をおとし、それぞれ対岸からの絵心を誘われる地帯でもあります。 いまから、およそ50年前に、河口近くに大堰が設けられボラなどの遡上が少なくなったようですが、そのかわり、この付近の流速がやや緩やかになり、岸で、のんびりフナ釣りの糸をたれている姿もみられるようになった。 しかし、梅雨の頃や秋の台風シーズンには上流のダムの放水とあいまって、ときには濁流がおしよせ、ゴルフコースも花畑ものみこんで滔々と流れ下る。 また、今からおよそ100年前には、取手付近で大きく蛇行していた利根川を直線化するための工事を行った結果、できたのが古利根沼で、現在でも、その中心線が茨城・千葉の県境となっている。 ここは流れがないこともあり、こどもたちの比較的安全な遊び場です。夕暮れになって、子供達が家路につくころ、美しい夕日を映した水面には大きな柳の木が影を落とし、遠くには一艘の釣り舟が浮かんでいるのが見える。静まりかえった水面で時々小魚の跳ねる音が聞こえたりします。 スケッチしながら、夕暮れの空と水面のどちらが明るいのだろうか?などと考たりします。 油彩画いずれもF100号
「白い影」(取手付近)2007年
「滔々」(ゴルフ場付近)2000年
「孤舟」(古利根沼)2004年