示現会展(笠原寛作氏「山里」出品)4/5~17国立新美術館 示現会は日展に出品されている作家の多い団体と聞いているので、流石にレベルの高い展覧会である。示現展の絵は、全般に具象画で統一されているので、私にとっては大変参考になった。奇抜な絵がなかった所為か、会場は特に自然を対象にした絵が多いこともあって癒し感でいっぱいであった。一般参加の方の絵もそれなりの力を示していたように思う。笠原さんの作品は、5室に展示されていた。「山里」と題する油彩画である。合評会のときにお話しされていた対象の絵であったように思う。全体が暖色系で統一され、山全体が秋そのものの風景画としてまとめられている。構図は、いつも拝見している絵同様に安定感があり、まとめ方に苦労されている様子が伺えた。実際の現場の構成を少し変えたと聞いている。山里というと、最近は里に絡んだ藁ぶき、かやぶきの家の描かれた絵が少なくなっているように思う。最近は地方へスケッチにいってもこのような家に遭遇するのは少なくなっているので、その表れかもしれない。笠原さんの絵にもそのような家は描かれていない。日本古来の里をどのように表現したらよいか、あくまでも日本らしいものを求めるべきか、地方の特徴ある建物等をいれるべきか、通常の家であっても山間に配置すれば里の風景として取り込まれるようになるのか、山里の雰囲気を出す表現求めるべきか。いろいろと勉強になった。表現は人によってそれぞれ、表現の目的も異なるので、良し悪しの判断はつかない。山里のイメージは固定的にこだわる必要がないように思えた。
牧野尊敏