4/18~23鎌倉生涯学習センター市民ギャラリー 鎌倉蒼美会洋画展を後援している上部団体は鎌倉市と鎌倉美術連盟であるが、この連盟に加盟している美術関連の団体は28団体の多数に及び、さすが芸術の町と言われるに相応しい盛況である。 今回は主催者鎌倉蒼美会の会員23名の76点に加えて仲間の「陽画会」の10名の賛助出展31点があり、合わせて33名、107点の作品が広々とした会場にバランス良く展覧されており、楽しく観賞出来た。蒼美会員の作品のほぼ半数をアクリル画が占め、年々この傾向が強まっている。 アクリルの特徴を生かして色々な表現を試みているのが印象的だった。この会もご多聞にもれず今年一年も高齢化や世代交代の 波を浴びながらも質的に高いレベルを維持していることに感心した。この中でも、東京黒百合会の森典生さんはメキメキと腕を上げられ、実質的に会のレベルを牽引していると感じた。今回の出展作は「焼岳遠望」50F、「大正池と焼岳」50F、「新緑の奥日光」30F、「日光光徳沼」20F、「大沼公園 駒ヶ岳」20Fの5点。すべてアクリルで画材の性質を相当研究し、使いこなされている。全て高山を背景にしたスケールの大きな明るい風景だが、中でも「日光光徳沼」は出色の出来栄えと思った。男体山を背景にした沼とその周辺の風景だが、いつもの山をドカンと中心に置き、山襞の陰影や輝きを強調する画風とは違って山を中心に置きながらも遠景に止め、中景はいかにもきれいな浅い沼と岸辺を描き、近景にはこの沼の生物的特徴を思わせる「谷地坊主:やちぼうず」と思われる植物群を細い柔らかなタッチとすばらしい色合いで描きあげている。作品全体のバランスも心地よい。作者の弁からもこの近景には相当苦労されたようだが、その苦労が今後の森さんの作品に大きな影響をもたらせるような気がする。
森典生作「日光光徳沼」 谷岑夫氏撮影