今回、「私のモチーフ」に替えてターシャ・チューダー(1915~2008年 米国)について書いてみたい。私は子供の頃から親しんだ動物たちについて何度か絵本を描きたいと思ってきた。しかし今では、視力、体力、気力の衰えを口実に、絵本や写真集、TV自然番組等を楽しむ安易な日々を送っている。ターシャは、絵本作家、挿絵画家、人形作家、ガーデナー等として多才な顔を持つ著名人であった。そして今なお根強い支持を得ている。 優れた絵本作家、挿絵画家は数多くいるが、その中で共感を覚えた一人がターシャである。 なぜなら彼女は無類の動物好きと思われるからである。ターシャが怪我した蛇の子を助け育て、夜ベッドで読書中彼女の温かい手の平の上でその子がトグロを巻いて(寝て?)いたというのだ。 そのエピソードに私はすっかり嬉しくなった。 ターシャは肖像画家の母親の影響で幼い頃からスケッチを始め、その努力を怠ることはなく、殆ど独学で絵を学んだという。彼女が14歳の時欲しかった牛をおじから送られ、農場で自給自足の生活をするという夢がひとつ叶ったようだ。そして十代後半でその夢を実現させたという。土を耕し、木を植え、種をまき、花を咲かせ、実らせ、動物を飼い、糸をつむぎ織り服を縫い、料理、掃除までアートとして楽しんだというターシャの生き方に、ただただ、うな垂れるしかない。
そのような豊かな自然の中で、スケッチで培われた画家としての才能を開花させ、四人の子供たちを育て上げたと書かれている。自然を愛したターシャの絵は、子供、動物、植物に対する眼差しが特に暖かいと感じる。ターシャに関する本は90冊以上出版されているとのこと、「ターシャ T.の人生」「ターシャ T.の世界」を参考に、上の拙文を書かせていただいた。ターシャの絵は、 猫(油彩)1点、薔薇とカード(水彩)2点を「ターシャ・T.の人生」から抜粋し紹介させていただいた。