絵を描く時「何を」「どのように」が問題になるが、私にはその上に「今」がいつも大きな問題になります。「今現在、私は何を描くべきなのか」ということです。絵が本当に身近な人は常に絵とともにいるので、「今」を考えることなく、すぐ描けるのでしょう。ところが私は「今」を意識するあまり、なかなか描き始められないのです。
そのような私にはデッサン会やスケッチ旅行の参加することが今を解決するのに大変役立っています。参加すればもう「今」が始まっているからです。
さて昨日3月17日に東京では桜の開花が告げられました。本格的な春の到来です。 四月は新入生、新入社員が多く誕生する月です。
ところで日本人の色の意識は「あか」「あお」「くろ」「しろ」の四種類だと聞いたことがあります。「あか」と言っても朱から臙脂、「あお」と言っても緑から紺と色巾は広いのですが。 そしてこの四つの色彩感覚が日本の四季と結び付けられています。
枯れ枝だった木々は透き通るような新緑を身にまとう溌剌とした春は、「青春」です。 夏は「朱夏」、秋は「白秋」、冬は「玄冬」とそれぞれの季節を色が端的に表現しています。
そういえば歌舞伎を表わすとされる定式幕の三色の縦縞は白を除いて、あか(柿)、黒、あお (緑)となっており、また今行われている大相撲の吊り屋根から垂らされている房の色は青(東) 赤(南)、白(西)、黒(北)となっています。
通常俳句に季語が必要なように、私たちは季節を離れて事物を見られないのかもしれません。 そしてこの春に「私のモチーフ」の順番になりました。今だということで、家の近くにスケッチに言って描いた2点を載せます。
大宮公園風景
天沼風景
また、俳句を始めて十年、あとから結社に加入してきた人に抜かれている最近ですが、拙作を下記に。 …………… 春: 柏手の乾ける響き木の芽風 春: 内側で蓋を引っ張るさざえかな
夏: 甚平着て近所の使いこなしけり 夏: 飛び込むや足の裏まで日焼けの子
秋: 秋雨や社殿の軒にこもかぶり 秋: 道路から梯子をかける松手入
冬: 原発のニュースまた聞く置炬燵 冬: うすら寒外科医の腰のコルセット