数年に一度、思い出したように廻って来る「私のモチーフ」はその都度自分を振り返る良い機会になっています。 墨で描いている絵で参加させて頂いています。 水墨画や墨象ではありません。皆様が水彩や油彩、パステルをお使いになる様に墨を使っているだけです。墨色だけで手一杯なので他の色までは中々手がだせないのです。 これ何?とご質問頂く事が多いのですが、目に映る現実を描いている訳ではないのです。何々ですとお答えすると違うものになってしまう気がしています。 描いているのは空気感だったり感情だったり、目に映らないけれど私が感じた言葉に成らない現実感です。具体的な物を描いていても私が描いているのは感情や思いであり、描かれている物や風景ではないような気がするようになりました。 だから、抽象、具象、書、絵がまるっきり区別なく私の中から出てくるんだろうと思います。 日本の書壇、絵の団体も見る方々も先ず分けたがります。枠の中に入れて分類してホッとしたいのかも知れません。書も絵も独学になってしまったのは枠が嫌だったからなのか、と今になって思います。
ハンガリー博物館での展示
フィレンツエのポスター
そんな我が儘な作品ですが、この数年ヨーロッパに受け入れられる様になってきました。博物館や美術館での展示が好評で、同じ市で二回目の展示になったりしていて有難い事と思っています。 自分は数時間家を空けるのも儘ならない状況ですが作品はあちこち廻っていて、現在30点近くの作品が欧州をうろうろしています。アジアではブルネイ王室に一点行きました。現実感の無いこと夥しいです。 来年は祖父、中島広吉(農学部林学)が書いた字が刻まれた石碑がチェコのモラビア山中に建てられてから90年だそうで、記念なのかチェコで展示になった作品がモラビアの近くのブルノ市の所有になるそうです。祖父が書いた字の近くに私の絵が展示されるのは不思議な気がしていますし、おじいちゃんが喜ぶだろうなぁ、と孫は思っています。変なもの書くなぁって言われそうだなぁと思いますけど。 人の真似はするな、自分で考えろ、学説は疑え、直ぐに結果が出なくても気にするな、わしの実験結果が出るのは百年後だ、と言ってた祖父のDNAを有難い事と思う今日この頃です。 次回モチーフの順番が廻って来たときは何が変わっているでしょう。もう少し賢くなっていたいなぁ。永遠に発達途上で頑張ります。玉泉
チエコ/プルノ市
ハンガリーにて