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長谷川 脩

平成ポプラ並木

 北大のポプラ並木は、牧歌的な風景として広く親しまれてきた。明治45年(1912)に林学科の学生達が実習で、45本の苗木を植えたのが始まりと言われている。平成12年(2000)の北大創基125周年記念事業の一環として、ポプラの樹の枝を演習林に挿し木し、クローンの若木を育て、新たに農場の北端にあたる場所に平成ポプラ並木が植樹された。ポプラの寿命は80~90年で、既に老木の状態にあることが考慮された処置だった。直後の平成16年(2004)、北海道を襲った台風16号はキャンパスの樹木に壊滅的な被害をもたらした。  ポプラ並木も半数近くが倒壊したが、倒木の立て直しと若木の植樹が行われ、現在、約80メートルの区間だけが散策できる。  昨年、ホームカミングデー(毎年、9月の最終土曜日に開催)に参加した際、平成ポプラ並木を尋ねた。  ホームカミングデー : 卒業生、大学関係者が学部、学科、年代、地域を越え母校に集い、親睦を深める行事  キャッチフレーズ : “Be Ambitious Again!” 地下鉄の北18条駅で下車し、キャンパス内を貫通している「環状通りエルムトンネル」沿いに18条門から学内に入る。(徒歩であればいつでも誰でも入構可能である) 耐震工事が完了し、一般公開が再開された「モデルバーン」を右に見て、西へ直進すると石山通り(道道452号線)に出る。道路沿いに恵迪寮と野球場を見ながら南下し、程なく、平成ポプラ並木が見える入口に到着する。

石山通り側の入口から見た平成ポプラ並木

 想像より大きく、枝ぶり豊かにすっくと立っていた。道の両側に植えられており、既存のポプラ並木よりも左右の巾が広く、ゆったり葉を広げ奥へ続いていた。20年弱でこんなに成長するものかと驚かされた。右手農場には金網越しに羊や牛がのんびり草を食んでいた。これは昔と同じ光景で、どこか懐かしく、思わず口元が緩んでくるようなのどかな情感に溢れていた。

奥に従来のポプラ並木、左側のビルが札幌駅JRタワー

 平成ポプラ並木は既存のポプラ並木から農場を隔て約500m北の場所に位置する。入口から奥に進んでみると、青空に向かい思いっきり枝葉を伸ばしている姿は勢いがあり頼もしい。東西に配置されたことは、防風林の役割を果たすと共に農場に日陰を作らないことが考慮されている。

最奥から石山通り入口を望む。左側農場、後方手稲山

 最奥迄(約350m)歩いてみると、どの樹も見事に生育していた。そして、記憶の中にある半世紀も前の「回想のポプラ」「回想のエルム」は単に懐旧の念に彩られたものではなく、当時、最も旺盛な樹勢を示していた最盛期のポプラ、エルムだったのだと気が付いた。現在、ポプラ並木が入場制限されていることも、決して悲しむべきものではなく、次のステップへの準備期間と考えられる。そのことを何よりも示してくれるのが、この成長した「平成ポプラ並木」である。ホームカミングデーに参加したことで、キャンパスの樹木が生育し、景観が回復していることが良く分かった。平成が終わろうとしている年に、それが確認できたことは、とてもうれしいことだった。

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