Ⅰ.今年の秋の一泊写生会は予定通り10月25.26日、伊豆稲取周辺を中心に行いました。 当初12名の参加希望者でしたが、直前に2名の都合が悪くなり、最終的には石川、大野、奥野、小石、佐々木、清水、建脇、谷、牧野、森、の10名が参加しました。 初日は素晴らしく晴れたスケッチ日和でした。気持ちの良い秋風を背に受けて稲取漁港を中心に描きました。宿舎は相模湾に張り出した高台にあり、全員が8階の個室なので部屋から相模湾の夕景を描いた人も居ました。豊富なメニューの夕食を楽しんだ後、2時間ほど恒例の合評会になりました。 今回は油彩がゼロでした。 動く距離や時間に年齢的な要素が加わって重たい画材の持ち運びを避ける傾向になったようです。夜の漁から帰ってきた漁船、それがたむろしている漁港のたたずまいと周辺の道の表現などに話題が集まりました。 2日目(26日)は次第に雲が広がり気温も下がり気味になりましたが、写生には支障はありませんでした。この時期の不順な天候を考えるとポッカリと幸運な二日に恵まれた写生会でした。この季節の目玉は細野高原の「ススキが原」でしたが平日で交通事情が非常に悪く、期待したような自由な行動が出来なかったのは残念でした。稲取漁港は伊豆でも一番美味しい金目鯛の揚がる港として評判ですのでそれを味わうことが出来た人は幸いでした。 幹事:谷 、清水
Ⅱ. 写生会スケッチ感想 当日は駅を降りて漁港へ直行した。 絵の対象は漁船が中心になる。漁船は複雑で動きがあり、丁寧に描くと難しい。岸壁の船は綱で結ばれているとはいえ絶えず揺れながら動いているので、形をとらえるのにおのずと筆の動きが早くなり、私のスケッチは粗くなった。港で会った皆さんも漁船を対象に描いている人が多かったが、複雑で動きのある船に挑戦し、よくまとめていた。私はダーマートグラフを使用し構図取りをしてから簡単に彩色するので、短時間のスケッチである。陸に上がった船もよいが、海に浮かぶ船には存在感を感じる。ここで数枚のスケッチを終えて、次にホテルの下の海岸に場所を変えた。 この海岸では風があって海岸に打ち寄せる波の表現を中心に背景を考慮しながらスケッチを試みる。海岸に打ち砕かれる波は同じものはないので見ていて飽きない。波を中心にした「怒涛」と称する絵を多く見かけるがうなずける。 白のガッシュを準備していなかったので、波の部分は白抜きにしてみたもののうまく描けなかった。海は広さを感じるので、絵をまとめるに当たっては空も大きな存在の一つと感じた。帰宅後同スケッチに白を加えてみた。スケッチのあり方として、現場でじっくり時間をかけるタイプと、短時間に済ませるタイプがあるが、どちらでもよいと思う。食後の合評会は個性のある表現の絵が多くて楽しい集いであった。(牧野 記)
牧野画