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後藤一雄、小石 浩治

第72回 示現会展

4/3~15・於; 国立新美術館・六本木

笠原寛「春の山川」

1)妻と一緒に展覧会を見てきました。 今年の作品は「春の山川」と題し100号油彩です。

遠景の山と中景の木々に囲まれた集落、近景の川、これらは笠原さんの得意なモチーフであり構図です。春の雪解けを思わせる透明感のある水の色が美しい作品に仕上がっています。 ただ、春の雪解けを思わせる水の色は美しいが遠景の「山」に比べて近景の「川」が弱いと感じました。「雪解け水」を強調すると、遠景の山から流れ来て、やがて海へ向かう「動き」や「勢い」が出るのではないかと思いました。 ――後藤 記

2)会場を回って、山の青、麓の緑、村の屋根の色を見ると、すぐに笠原さんの作品と判る。  作品の色調とか色使いというのは、ベテランの人ほど固まってくるものなのだろうか。 近景に農道、中景に集落、遠景に山の構図が多かったが、この度は「農道」に替わって幅の広い「川」になって「山」に繋がった。   “空を牽(い)て末広がりに春の川” ――飯田蛇笏   空の青がそのまま川面に映って流れる。 長い冬から解放されて伸びやかに流れる川。水の音から春は来る。そして生物、植物が一斉に活動を始める。主題が「山と川」だから手前の砂利、岩、川面にアクセント・「光」を加えると、一層、「春の雰囲気」が出たと思う。 ――小石 記

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