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長谷川 脩

2019東京黒百合「小品展」総括

 キリストの母「聖母マリア」を意味するノートルダム(私たちの貴婦人)寺院、世界遺産であり850年の歴史を持つ中世を代表するゴシック建築が日本時間4月16日午後に火災を発生した。それから間もなく、大谷さんから出品票が届いた。4点あって「朝焼けのノートルダム」「鬼ケシとシャルトル大聖堂」が含まれていた。旧作と示されていたが、時宜にあった選定をされているのに驚かされた。メール交換がまだ不自由と伺っていたにも拘らず、はがきの文字はご自身の手ではっきり書かれていた。 そして何より、ご自分の作品をきちんと把握されていることが分かった。

一方、奥野さんから、日鉄OB絵画同好会である“たたら会”の幹事の方が大先輩である大谷さんと連絡を取りたい意向だとのメールが届き、出展されることを伝えた。幹事の方は初日見えられ、搬入代行をしていただいた大谷さんのお嬢さんと話されて帰られた。  会員ご自身の体調だけでなく、ご家族の理由でも作品をまとめ出展するという作業には影響する。 そのような事情にもかかわらず、今回出展していただいた方々に心からお礼申し上げます。  最終結果、出展者25名(昨年と同数)作品数55点が揃った。毎年、精力的に作品を描いて下さった方の急逝など、会員の変動という厳しい状態になったが、昨年とほぼ同様の展示が実現した。  今年入会され、栃木宇都宮から出展いただいた初谷さんは、丁紹光(ティン・シャオカン)という中国の画家の絵を模写しためずらしい作品を出されていた。

「イルミネーション」 油彩 F6 模写  初谷長治

 また、新潟湯沢から樋口さんが小品展に初参加して下さった。昨年春のスケッチ会が大源太山の麓で行われ、地元の樋口さんに大変お世話になった。帰宅前、ご自宅に招待していただき、有志数名が お邪魔した。この時の驚きが忘れられない。雪国の対策が万全なお家にはこれまでの作品が飾られ、かつご自分の広いアトリエをお持ちだったことである。羨望の目で拝見しながら「描かないのはもったいない」と懇願した。そして今回、2点を描いていただくことが実現した。

「雪解けの魚野川(八海山遠望)」 F12 油彩  樋口正毅

 最終日打ち上げパーティーの途中、幹事側の一存で5人の方に自作を語ってもらう時間を作った。  いち早く令和の令の文字を題名の中に取り入れた2作品を出された染川さん。同じく「明治~昭和」と「平成~令和」という対比を船のペン画2枚の題名に加えられた伊藤さん。たくさんの親族の顔を墨彩で描いたものと様々な感情の表情を水彩と木版で描いた2枚を出された長谷部さん。加えて新人の初谷さんとお元気な姿を見せられた喜多さんに話していただいた。普段あまりお聞きすることの出来ない話題にも触れられて、個別の談笑とはまた違った内容が披露され、楽しい時間が生まれた。

 出展者数と出展料は反比例の関係にある。今年度、「出展料の変動を望まない」という意見が寄せられ、予算収支がギリギリどうなるか厳しい状況が続いた。 この状態は来年度以降もあまり変わらない。  今年「絵はがき販売」を牧野さんと私で試行して、打開策には足りないが、僅かながら収入を得た。出展された方々に諮ってはいなかったが、賛同いただいた方が2名おられた。来期以降に繋げられればと思っている。 

 飾り付けの際、GAH吉光寺さんがピクチャーレール吊り下げフックの移動の仕方を、建脇さんが絵の中心の高さを揃えて飾る方法をそれぞれ提示され、お陰様で皆さんの迅速なご協力のもと見栄えある展示になりました。 ありがとうございました。

☆ 小品展雑感(牧野尊敏)  本展覧会は、旧グループ展が統合され「合同展」として開催された後、ほどなくして「小品展」と改称し今日に至っているが、第二の東京黒百合展として定着した感がある。今回展は小品展といえども比較的大きな絵も多く、一般の展覧会規模の通常レベルである。しかし、その内容は力作が多く質的にもレベルが高く充実したものであった。本展同様、各絵は会員の独自のジャンルで描かれ、個性豊かで変化があり、話題豊富で参観した人を楽しませていたように思う。  自作絵の作者講評は、時間制約もあり一部の方に限定されたが、作者の意図が吐露され講評者の熱心さが伝わり、この展覧会を盛り上げて大変好評であった。   

 「絵はがき販売」は、初めての試みであった。3月の総会での提案を実行してみたものであるが、収益の一部を展覧会会計に充当して、少しでも本会の運営に寄与できればとの思いからである。 この件は、基本的に個人の領域になるので強制はできず、会員の任意意向に委ねることになる。  実施してみると公募展等で行われているものとは異なるそれなりの難しさがあり、実施方法等についてはいろいろ問題もあって今後の検討課題と思われた。今回は2人のみで行ったが、多くの参加者があれば今回の経験を生かし、それなりのにぎやかさで実行できる可能性があると感じた。

 今回展は、総じて長谷川幹事の努力によるところが大きく感じた。幹事の負担を少なくすべく次回展はさらに多くの出品者を期待し、一層充実したにぎやかな展覧会でありたいと願う。 今から会員皆様のご協力をお願いしたいと思います。

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