(首藤義明さん出品) 5/29-6/10 国立新美術館 昭和52年に発足した日洋展は今回で33回を数え、出品者数も会員と一般を合わせて780名を超える大公募展となった。 首藤さんの「春を待つ」F100(3階展示室)は、厳しい冬に耐えてきた樹木が、春の陽光を逃すまいと立ち競う風景である。基調としている黒色、茶褐色が、建物の白壁や樹木の僅かな緑を引き立たせている。(HPに後藤さんが掲載済) 私的には、以前の首藤さんの絵柄は、鮮烈な「青色」が画面を際立たせていたように思うが、その後、心境の変化があったのか、黒色、茶褐色が画面の7割を占める構成になった。 「黒」は額縁効果があると言われ、黒の中に置かれた色は前面に出る。赤や黄色などの有彩色は、一層明るさを目立たせる反面、「孤独・沈黙・重さ」等のイメージを持つから、作者は敢えて樹木を「黒」空を「灰色」にして「遅い春」を我慢強く待つイメージにしたのだろう。 そのためか全体に少し寂しくなった気がする。
訪ねた日に、審査員による受賞作(2階展示室中心)の講評を聞くことが出来た。 ・さぞ苦労しただろうことが良くわかる。 ・画面構成(構図と言わず)物語性がある。 ・F200,号P300号等大作の画面を囲う額縁に工夫(橙色、木肌色等)があり絵と一体化している・等々。―― 解説を聞き、なるほどと頷ける作品がいくつかあった。 下図;首藤義明作「春を待つ」