投稿
- 東京黒百合会
- 7月5日
- 読了時間: 4分
さらば小品展!
長谷川 脩
グループ展の後を受け合同展から春の展示会として受け継がれてきた小品展は、今年2025年の第7回で最終回となった。ここ何年か出展する方の減少が続き、会場費を捻出することが年々難しくなってきたという理由による。今年の幹事会で、中止やむなしの方向で決議された。この事を会場になるGAHに連絡すると、突然の話で、これから代わりを引き受けてくれる団体を探すのは困難であり、多少のマイナスの発生であれば開催して欲しいとの要望があった。この件を全幹事に連絡すると、それなら進めようということになり4月号の会報に予定どおりの募集要領を載せ参加を募ることになった。
しかし、参加を見合わせる会員は多く、勧誘に応じてくれた方は最終、全会員30名中の19名のみだった。
それでも作品数は41点を数え、会場の壁面をほぼ埋めることが出来た。その中には会員でないにもかかわらず、無理な状況を察してくださった笠原夫人の油絵2点が含まれている。

昨年、第10回をもって終了になった水彩展に参加していた埼玉在住の女性3人。小品展が同じ場所で開催されているとは知らなかったと興味を示してくれた。揃って会場に来られた時、全作品の説明をして必ずしも黒百合会出身のメンバーだけではないことを話した。今後の出展を要望したが、ハードルが高いとの理由で断られてしまった。水彩展で拝見したそれぞれの作品はどれも個性豊かで、発表の場が無くなった今、一緒に活動して欲しいと思ったが残念な結果になった。
今年に入ってから首藤、初谷氏の二人が逝去、会員数の減少は続いている。この状況に歯止めをかけられないのは仕方ないことなのか。年齢や健康問題などで出展を見合わせる方が増えているのが現状である。救いは、在校生の活動は継続していることである。
しかし、社会に出ると仕事や生活で何かと余裕がなくなり、絵を描く時間が取れないことをどうすれば良いのか。自分も再開出来たのはリタイア後だったので、解決策はなかなか思い当たらない。
会期中天候もまずまずで、来場者も多く、最後の小品展としては申し分のないものになったと感じた。出展者同士はもちろん、初めての方との会話、お孫さんの来場でひときわ弾んだ交流など、にぎやかに行われ有意義なひと時だった。
会場で出展作品を観ることは勿論、会員同士、来客の方々との談論には言うに言われない楽しさがある。
日頃あまり会う機会のない知人、友人が会場を訪れてくれるだけでも有難いことであるのだが、近況を聞きあわせて絵に関する忌憚のない話が飛び出してくると時間の経つのも忘れてしまうほどである。若かった頃の面影を残しながら、年月を経て辿り着いている現在の生活が意外なものであったり、思わぬ幸運に恵まれた状況だったりして、年月は様々な命運を運んでいることに驚かされる。全てのものは変化し続け永遠ではない。命は単独で存在するものではなく、他者との関係の中で輝く。限りある命だからこそ人との関りがより深く輝きを増す。その時間をどう使うかが重要になり、それが命の輝きになる。今を精一杯生きる大切さを一層理解できるようになった気がした。
今回、最後の小品展の開催には、会場のGAHの多大なご協力があった。例年のことではあるが案内状の作成と配布、出展目録・キャプション・記名帖・当番表などの作成、そして最終日に行なった簡単な打ち上げに対しての差し入れ等の細かい配慮は、これまでと何ら変わることなく、むしろ今まで以上に心遣いをしてくださった。この場を借りてお礼申し上げます。終了後に頂いたメールには「また秋の本展御開催日をスタッフ一同お待ち申し上げております」と書いてあった。会場でお礼を言う事の出来なかった笠原夫人からは「作品が41点も集まり、素敵な展覧会になっていましたね」とのご丁寧なメールを頂いた。GAHからの差し入れもあって開かれた打ち上げでは、全員が一言それぞれの生活の一端を話して、楽しい時間が流れた。最終のこの小品展を飾ってくださった会員の皆様に改めてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。そして、さらば小品展!
Comments