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- 東京黒百合会

- 4月5日
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2026/02/20東京同窓会誌
FRONNTIER第68号「風景との対話」
写真とテンペラ画、そして郷愁
采 孟(S45・獣医)
私は仕事の関係で自分でも驚くほど多くの国々を訪問しました。
米国、インド、中国、西欧、東南アジアのように何度も訪れた国々もあれば、東欧、中近東、アフリカ、南米のように数度しか訪問の機会がなかった国々もあります。都会ばかりではなく田舎の街もありました。
仕事が目的ですから街に出かける時間は限られていましたが、それでも今回はどのような風景に出会うだろうと、どこかワクワクしながらカメラとフィルムを携えて出かけました。
最近ではデジタル技術でカメラワークは革命的に変化しましたが、以前は貴重なフィルムですから一枚一枚を実に大切に使い、その時感動した風景だけを撮影しました。そしてこれらの写真の中から気に入った写真を選び、一連の編集作業を経て毎年一冊の割合で写真集として仕上げてきました。写真集のタイトルはTravelogue、既に30冊を超えました。
私は十数年前にご縁があってテンペラ画のグループに加えていただきました。私の写真集の中から選んだ写真から下絵を起こし、それをテンペラ画に仕上げています。
私が教わったのはテンペラと油彩の混合技法です。下絵の上に、チタン粉末を卵メディウム液に練り込んだ白色のテンペラ絵具を2-3ミリの長さの細い線や点を重ねながら立体感を出し(ハッチング)、その上に薄く油彩を施します。
このハッチングと着彩を何度も繰り返しながら絵としての表情を仕上げていきます。実に根気の必要な技法です。この作業を一心に続けていると、面白いことにその写真を写した時の心情が蘇ってきます。
フランスのリヨンでの合弁事業交渉が一段落して夕方の河畔を散歩しているとき、停泊しているボートの国旗と対岸の古い教会が重なった風景に思わずシャッターを切りました。

旅の河畔(リヨン)・テンペラ・SM
その写真からテンペラ画を起こしていると、その時は何とか契約がまとまりそうだという吉兆のような感覚を覚えたことを思い出しました。

旅の波止場(ボストン)・テンペラ・SM
また、米国のボストンで開催されたシンポジウムでの講演を終えてディナークルーズに招かれた時の夜景は、港の灯と船着場のホテルに掲げられた星条旗が印象的でした。講演を終えた安堵感と共に米国に根付いている旺盛な起業家精神に圧倒されたことを思い出しました。
私にとってテンペラ画を描くのは、郷愁と共に改めて自分自身と向き合う時間になっています。




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