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寄稿   展覧会を訪ねて

  • 執筆者の写真: 東京黒百合会
    東京黒百合会
  • 4月5日
  • 読了時間: 2分

 小石浩治


第48回日本きりえ美術展(’25/11/19~24)

 都美術館に細井夫人・章子さんが2点出品されていた。以前、細井夫妻による「二人展」で拝見した「阿修羅の杜」(阿修羅が森の中央に立つ図)に棲む眷属(四天王に従う鬼神たち)に、森の一番鳥が夜明けを告げる・・そんな感じのする作品に仕上がった。樹の小枝が朝焼けの背景に映える。

「森の夜明け」  細井章子

 もう一つは今回で“きりえ協会賞”受賞の作品。殆ど黒色の画面に、わずかに青、赤のアクセントをつけて、「駒屋さん」の店の中を描いたもの。中央の暖簾下で、何か整理している女将さん、後ろの棚、左横の棚に並ぶ様々な品。天井から吊り下げた鉄瓶等、古道具屋さんの店内風景。“神は細部に宿る”という格言がある。わずか1~2ミリの黒い線を切り取る作業は、集中力、忍耐力を要求される。上記お二人の背には神が宿っている。

     「飛騨古河駒屋さん」 坂部 信子



ゴッホ展

家族がつないだ画家の夢(ゴッホ:1853~1890)

(都美術館 ’25/9/12~12/21)

 

左記のきりえ展と並び、ゴッホ展が開催されていた。会場は職員が入場者の整理に大忙しだ。

 ゴッホの弟テオの妻ヨーが作品管理、更にその息子のフィンセント・ウィレムはゴッホ財団設立により美術館開館に尽力する。今回展は、ゴッホ美術館の作品を中心に、家族が受け継いできたゴッホの作品30点以上と手紙等が展示される。

 ゴッホ展は、これまで何度か各地の美術館で開催されたが、私は2019年<上野の森美術館>が記憶に残る。注目したのは下図「ジャガイモを食べる人々」。人物の「手」だった。ゴッホ32歳の作品だ。

 ゴッホ生涯にわたり尊敬し続けた「農民画家・ミレー」に感化されて描いたものと思われる。

「ジャガイモを食べる人々」油彩 82×114cm  1885年作品

(“上野の森展”ではリトグラフ・インク・紙)


“ゴッホの手紙”を研究した小林秀雄の解説がある。 「煤けた天井から吊ランプが下がっている。みんな野良着のまま泥にまみれた被り物さえとっていない。腹をすかした子供と若夫婦が真っ先に皿に手を出す。婆さんは茶をつぎながら不平をこぼす。息子が聴きとがめて、渋い顔をして何か言う。神さんは亭主を睨む。爺さんがグズグズ言わずに食べろと、婆さんに馬鈴薯を差し出す。子供は向こうを向いて黙って食べている。美しいものや和やかなものもない。毎日、繰り返される辛い退屈な生活である。労働という絶対的な必要事である。 …以下略… 」

(小林秀雄著「ゴッホの手紙」新潮社刊から)

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