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追悼

  • 執筆者の写真: 東京黒百合会
    東京黒百合会
  • 7月5日
  • 読了時間: 2分

初谷長治さんを偲んで

清水全生

 初谷さんの訃報は、予期しないことが突然やって来て、私は暫く茫然自失し、未だ早過ぎるのではないか!と不条理で、「残念無念」な思いにかられました。昨年5月に一泊写生会で「みなかみ温泉」に行った時は、私、皆さんも初谷さんの元気なお姿を拝見していたのですが・・。7月下旬、奥様との電話で、コロナに罹り急遽入院し、肺が重症で、自力で会話もできない位重篤な病状になっていることをお聞きしました。その後、9月頃には徐々に回復していることをお聞きして私は少し安心していたのですが・・。


 奥様、ご家族の献身的な介護にも拘わらず、1年足らずの間に病状の回復も虚しく残念なことになりました。今年3月23日、78才で永眠されました。学生時代から仲の良かった友を失い誠に慙愧に堪えません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。   


 初谷さんとは北大教養学部以来の友人でお互いに気心の知れた間柄でした。彼は、東京・神田生れの江戸っ子で、私の様な北海道生まれの田舎者と異なり都会的なハイカラさを持ち、話題が豊富、新鮮で面白く、仲間内ではいつも人気の的でした。教養時代は彼を囲む仲間や藤女子他の学生も誘い、スキー仲間とゲレンデスキーの同好会を創設し、文学好きな仲間との文集作りでも中心的な役割を果たしていました。それにしても勉強は殆ど無しで良く遊んでいました。加えて、彼は当時から絵にも興味あり、私が入会していた黒百合部のデッサン会にも再三、参加していました。彼は、教養後、理学部物理学科に進み、本田技研へ就職し、車の試験走行の実験など、技術者として大活躍していました。私も会社生活を終えて暫くして東京黒百合会に入会後、当時の教養仲間に展覧会の案内をしていたのですが、その折りに、彼の希望も有って入会して、6年程になります。今は当会の仲間と共に合評会、写生会、展覧会等に積極的に参加し、絵について楽しく語り始めたところでした。初谷さんの絵は、海外出張、旅行した時のヨーロッパの市街地の風景をモチーフにしたものが多かったです。ドイツ、オランダ、ベルギー等への旅行の思い出を描いた絵が代表作として残されています。明るい日射しの中で、カラフルなレンガ作りの家並み、教会の高い塔、奥に広がる田園風景などが鮮やかに描かれていて異国情緒の素晴らしい絵画となっています。これからも描きたかった絵は多かったとは思いますが、先ずはゆっくり、安らかに眠って下さい。心からご冥福をお祈り申し上げます。合掌。


ベルギー・ブルージュの思い出 油彩 P10
ベルギー・ブルージュの思い出 油彩 P10
ブルージェの運河と橋  油彩 F10
ブルージェの運河と橋  油彩 F10
風景の記憶 油彩 F10
風景の記憶 油彩 F10

 


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