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執筆者の写真東京黒百合会

老四人展

自然豊かな古里への思い伝える ”環境の変化に関心を!”


 安曇野の代名詞でもある豊かな湧水。しかし近年、水位の低下、水温の上昇、ワサビの生育不良などが指摘されるようになった。そんな状況に危機感を抱いた地元の75歳以上の男性4人が、芸術作品を通して保全を訴えようと立ち上がった。

 内川美徳さん(87、明科七貴)、柴野道夫さん(84、三郷温)、片桐勝郎さん(81、同)、峯岸八戒(芳夫)さん(75、三郷明盛)。それぞれ、詩、絵画、写真、俳句を楽しむ。共通するのは「水や自然を守りたい」との強い思いだ。そんな4人が14日から、貞享義民記念館(三郷明盛)で「残そう安曇野の自然と文化老四人展」を開く。 

水が豊かで風光明媚(めいび)な古里を未来に残したい-。そんな希望も込め、次代を担う若者に会場へ足を運んでもらうための工夫も凝らす。作品展「残そう安曇野の自然と文化老四人展」は、テーマを「地下水(湧水)」「山脈の美」「農と生活」「ぬくもり」「つながる文化」に分け、約60点を展示する。

「川面の飛沫(ひまつ)たちは流れを楽しむ波浪は忙しく前を行く波を追い立てる」。内川美徳さんは詩「流れ」で、水の動きを詠み、その素晴らしさを訴える。柴野道夫さんは油彩画「初夏の有明山」で、青を基調に自然の美しさを表現した。

 片桐勝郎さんは写真「田植え」で、耕運機で田植えをする様子、水鏡など、安曇野の田園風景を伝える。峯岸八戒さんは「枯らすまい永遠(とわ)の泉の踊りかな」と、自身の、地下水に対する決意を俳句に詠んだ。

 時代が進み、生活は便利になった半面、なくなりつつある自然。「今、なんとかしなければ」という思いを抱いた4人。そこで、育まれた文化、人のぬくもりも失われてしまいそうな焦りも感じた。コロナ禍で大変な状況の中、「これからを生きる人が関心を持たなくてはいけない」と痛感したという。

 若者にも加わってもらいたい|と、峯岸さんが作った俳句は、ほとんどを松本蟻ケ崎高校の書道部員に書いてもらった。16日午前10時から、同部によるパフォーマンスまたは作品展示がある。

                              ◇

 市地下水保全対策研究委員会による「市地下水資源強化・活用指針」(2012年)は安曇野の地下水が生み出す価値(年間値)として、観光資源約76億円、水道水約20億円、ミネラルウオーター約849億円などを挙げた。これらを失ったら、大変な損失だ。

「安曇野の美しさは確実に失われている。そのことに気づいてほしい」(片桐さん)、「水は確実に汚れている。今生きている時代をきちんと見つめてほしい」(内川さん)、「自然に恵まれた環境に住める幸せを感じてもらいたい」(柴野さん)、「これをきっかけに、若者と環境対話ができたらいい」(峯岸さん)。企画展は6月4日まで。

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