top of page

フランス風景 雑感

執筆者の写真: 東京黒百合会東京黒百合会

初谷長治

(北大東京同窓会誌“フロンティア”「風景との対話」から転載いたしました)

北米への出張を除けば、私が今まで最も多く訪れた外国はフランスに成ります。40年近く前、初めてドイツからバスに乗ってフランスへ入った時の印象は、道路周辺で見る限りドイツではサッパリと小綺麗でしたが、国境を越えてフランスへ入ると雑然としていて余り片付いた様子もない風景でしたので、これがヨーロッパのラテン人とゲルマン人の違いなのかなーと感じた事を覚えています。ただ季節が晩秋だったこともあり、借り入れた後の畑が地平線まで続いた「土色」でフランスが豊かな農業国でもあるとの印象を持ちました。この実感は、2012年頃パリから南西200キロ程をドライブしてロアール地方を旅した時の高速道路からの風景でも同感でして、この時は夏の盛りだったので良く耕された畑は日本の田園風景とは大分違った豊かな農村を実感しました。パリに滞在すると多くの旅行者が近郊にあるベルサイユ宮殿へ向かいますが、往々にして宮殿の中の居室とか「鏡の間」とかを見て帰ってしまいますが、実はベルサイユ宮殿はその庭が立派で広く、風景として長旅を忘れさせる程です、なかでもプチトリアノンとその庭園も必見の風景です。また田園風景と言えばパリ近郊では有名な初期印象派のミレーを中心とした画家達が好んで描いたバービゾンの景色とその近くの離宮であった「フォンテーヌブロー城」の落ち着いた風景は、成程と人を唸らせる魅力があります。

 さて今回持ち出した油絵はパリ中心部にある「オペラ座」のバルコニーから市街を見渡した絵です、ただ見渡しただけではつまらないので少し立ち位置を後ろに引いたところから扉の枠を入れたところ、思わず床に反射した陽光が印象的でしたのでそのまま油絵にしてしまいました。これも一幅の風景ではないでしょうか?



 もう一枚は4年前にパリから真西の方角の大西洋岸にある有名な「モンサンミッシェル」です。

実態は修道院との案内ですが、これは眞に「要塞」と言えるでしょう、中世に何百年かを掛けて出来上がったらしく言うなれば大西洋からの突然の外的侵入に備えた「山城」そのものに思えました。

 中世ならば兵士数百人の籠城が可能と思われました。一端上陸した侵略者もここで見張られてしまってはここから一歩も内陸には進めないでしょう。そこに一般住民(領民)もどれだけ頼りがいを感じていたかが想像できます。こんなことを感じながらこの絵を描きました。



閲覧数:24回0件のコメント

最新記事

すべて表示

寄稿

寄稿

Kommentare


bottom of page