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執筆者の写真東京黒百合会

上村松園と美人画の世界

    記 小石浩治

時:1月3日~3月1日 山種美術館

 東京駅の近くにあった山種が広尾に移転、開館してから10周年を迎えたことを記念して、上村松園(明治8年生)中心に鏑木清方、伊藤深水、村上華岳らの描く女性像を紹介する展覧会である。松園と言えば「序の舞」だが、原画は東京芸大美術館所蔵なので今展には出展されなかった。美術館の創立者・山崎種二は、松園と親しく交流しながら作品を蒐集、「蛍」、「砧」等の代表作18点の作品を所蔵している。  

会場入口を飾ったのは「牡丹雪」である。降りしきる牡丹雪の中を娘二人が行き過ぎる。うす暗く広がる銀世界と雪で重くなる傘を手にした娘との対比、昭和19年の制作。この年、「学徒動員令」が公布された。戦時の不穏な空気を感じたのか、画面3/4は空間、1/4に人物を配置した。松園には珍しい構図である。

松園の繊細な「線」とは逆に、太く強く描いた橋本明治(明治37年生)の「舞」を観て、表題は「美人画」より着物の「日本女性」とした方が味わいあると思った。


「牡丹雪」1944・昭和19年(71×81cm)


橋本明治「「舞」1966年(昭和41)


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