(8/3~9/29 東京芸大美術館) 写真と文:小石浩治
9/6日は芸大の“芸祭”の初日だった。上野公園の広場で各専攻科の学生たちが、高さ2-3Mもある御輿(ペガサス、金の鯱等)を作り、OBも屋台やテントを張り、炎天下、集客に懸命だった。
その芸大の美術館で、写生画で一世を風靡した
[応挙(1733-1795)と円山派],蕪村に学び応挙にも師事した[呉春(1752-1811)と四条派]の、京都画壇への影響とその系譜を辿る展覧会が開かれた。
今回話題を集めたのは、兵庫県の山陰海岸に位置する大乗寺(高野山真言宗)の襖絵が展示されたことだ。江戸中期の画家円山応挙とその一門の画家たちに襖絵がたくさんあるので
「応挙寺」の名がある。孔雀は極楽浄土の象徴。
下図:応挙「松に孔雀図」 1795年63歳
光の当たり方で襖の金地との関係から、孔雀は青、松の幹は茶、松葉は緑色に見えることがある。
応挙は自然を写生し動物たちをリアルに描き18世紀の京都に革命をもたらした。中でも応挙は犬好きだったので「狗子図」も多く、日本画に「かわいい」を持ち込み、円山派の人気を一層高めた。
門下では長澤芦雪の犬、虎の岸竹堂、猿の森祖仙人、近代では武内栖鳳らが伝統を引き継いだ。
円山・四条派の人物は品格があるが、応挙の遊女を象に乗せ普賢菩薩に見立てた「江口の君図」は人物の類型化、パターン化という感じがする。しかし、応挙に憧れをもって近代絵画へと繋いだ上村松園(四条派)の「美人画」は「情感豊かに」加えて「凛とした」女性の姿を描き、現代女性にも人気が高い。
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