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執筆者の写真東京黒百合会

展覧会訪ねて

 墨のなかの彩り

   (7/4~9 ・世田谷美術館)

 今年も墨彩会展が賑やかに開催された。       

出品者は8名だが、会場は110点余の作品が所狭しと並んだ。中でも笠木玉泉

の場合は、会場片側壁面の半分を占める。

下の写真を見ての通り、中央の四角の殆ど黒い作品「with PRIDE」は大判で畳2枚分もあるかという大作。僅かに画面の下方の墨の“動き”から、全体を想像するしかなかった。

その他、「翔」「埋みの果て」「連舞」等が並ぶが、どれも高揚した意識を持続しつつ、描き直し利かぬ画面に向かい、一気に描いたものだろう。墨の濃淡で抽象の世界へ導入する技術は只驚嘆するだけである。



 同じ部屋に、会員の共通課題・南宋末の僧で水墨画家・「牧谿(もっけい)」の“模写”があった。


  笠木玉泉作:「一切衆生 悉有仏性」

“全て生きとし生けるものは仏である”

 時には水墨画の原点を振り返るか・と

思い、改めて作品群を見つめ直した。

余談だが、牧谿の水墨画は室町時代の水墨画に大きな影響を与え、中でも長谷川等伯は、

牧谿を最も熱心に学んだ絵師であった。


  参考・下図:牧谿作 「観音猿鶴図」

本展はこのほか、呉須の染付け・絵皿も並び、笠木さんは、うち2点出品されていた。

 売れたそうである。


 

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