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執筆者の写真東京黒百合会

戦争はまたも起こってしまった


 2022/3月 小石浩治

▽3/1日 ~「駅」という言葉は、どこかもの悲しい。これまで、どれほどの人々の出会いや離別の場になったのか。故郷の駅から戦地に出征する親族を見送った。

でもそれが今生の別れになってしまった。セピア色の辛い記憶を持つ戦中世代の方も     おられるかもしれない。

▼ 第2次世界大戦のさなか、各国の兵士が駅から戦場に向かった。 1970年に公開された映画「ひまわり」の別れの場所は、イタリアのターミナル駅だった。

ソ連戦線へと赴く夫を、妻が見送る。

戦後、行方不明になった夫を探しに、妻は単身、ソ連に渡った。奇跡的に再会を果たすのだが・・。



▼ 東西冷戦下のソ連でロケが行われた。

死んだ兵士たちが埋葬された・・と作品で描かれる広大なひまわり畑の風景は、ウクライナで撮影された そうだ。行軍中に倒れた夫は記憶を失い、敵国の美しい娘に救護された。彼女と結ばれ、戦後も当地に留まったのだ。 元夫婦はそれぞれの道を歩む。二人の永久の別れも駅だった。(※ 伊・ソ連・米合作映画、監督:ヴィットリオ・デ・シーカ).

▼ 昨日の本紙で、ウクライナ国境に近いポーランド南東部の街、プシェミシルの駅舎の

光景を現地入りした記者が伝えた。戦乱を逃れた女性の肉声が胸に迫る。

一方、この駅に向かうウクライナの男たちの姿も、メディアは報じる。

近隣国での出稼ぎを中止し祖国防衛に赴くのだ。映画ではない。この世界の現実である。  

――――― (2022/3・1日経・朝刊「春秋」から)


▽3/2 日 ~「戦争はまたも起こってしまった。誰にも無用で無益な困難が再来し、

偽り、欺きが横行し、そして人類の愚かさ、残忍さが露呈した。」

1904年6月、日露戦争が勃発して4ケ月後にロシアの作家トルストイは、非戦を    訴える長大な論文を英タイムズ紙に寄稿した。~血を流さずに守れる平和などない・と

いう主張ももっともらしい。それでもトルストイはひるまず戦争の絶対悪を言い続けた。

―――――(2022/3・2 日経・朝刊「春秋」から)


▽3/3日 ~ 琥珀には地味なイメージがある。しかし詩人(J.A.ミッチエナー・小説

「ポーランド」)は あめ色の宝石を讃える。眼に痛むダイヤモンドの輝きやこれ見よがし

の黄金の厚かましさがない。「秋の穂波の上にかかる月の光のようだ」と。

針葉樹の樹脂が何千万年もかけて化石化したもので、ロシアを含むバルト海沿岸は

有数の産地だ。ポーランドでは身につける人を守り、身体の痛みを癒すと信じられて

いると言う。~傷心のウクライナの人々を迎えたのも、この琥珀の国だった。~~

―――――(2022/3・3 日経・朝刊「春秋」から)

(※「 ~ポーランドは~逃れた人約180万~受け入れは限界に達しつつある。」3/17付日経)

 

2/24日に始まったロシアのウクライナ侵攻に関し、本会とは直接関係ないものの、無関心では居られず、日経新聞朝刊コラム欄「春秋」の一部を上記にご紹介いたしました。


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