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執筆者の写真東京黒百合会

日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学

(令和3年1/16 於・横浜能楽堂) 小石浩治

 講師;武田裕子(日本画家・1983生れ・東京芸大大学院非常勤講師)

 “横浜能楽堂の能舞台にある「鏡板」を見ながら、墨、胡紛(ごふん),白緑(びゃくろく)を使ってハガキサイズの板に梅を描きます。能楽堂施設見学付。定員15名“ との情報を娘からもらい、早速応募したら運よくOKの通知を得た。

 持ち物はエプロンとボールペンだけで良いという。当日は掃部山公園横の会場入口で検温・消毒、各自マスク等の感染予防対策を万全にして、参加したのは定員半分の7名だった。最初に武田先生から日本画絵具一式と筆、膠(にかわ)等の説明のあと、板に梅を描く要領を実演し見せてくれた。

 この時、「日本画は一筆で描くのが基本です」と言って筆に載った墨で(梅の枝)をスッと板に描くだけで、重ね塗りをしない。ここが根本的に油彩・水彩画と違うところと言う。

「線に始まり線で終わる」一筆描きが日本画の本領なのだ。

 画材の墨の塊、白や緑の粒子を小皿に入れ、摺り棒で更に細かくし膠や水を継ぎ足して指で練る。胡粉(貝殻の粉)は練って団子状になった小さな球を皿に何度も打ち付け(いわ

ゆる“百叩き”で膠が胡粉にしみとおる)、水を足して柔らかくし、アク抜きしてやっと筆が使える絵具になる。 生徒たちの机(二人横並び)には、全行程を経た胡粉、緑青、墨、筆が2本、鉛筆に消しゴム、水洗のバケツに雑巾と各々一式揃っている。あとは描くだけ。杉、欅、モミなどのハガキ大の板(シーリング/ヤニ止め済み)30枚の中から、各自、一枚選んで描きなさいというので、私は木目の綺麗なスギを選んだ。舞台の梅を思い浮かべながら描き始めて約1時間、絵具が乾くまで能楽堂の舞台裏等を見学、再び部屋(本舞台に似せた第二舞台)に戻り、最後に花びらを縁取りして終了。

僅か2時間のことだったが、日本画の奥深さ、技術の高さを垣間見た気がした。

(注:”鏡板” とは本舞台の正面奥の老松を描いた羽目板のこと。梅は幹の下に描かれている。)




武田裕子作「梅」

小石作 「春よこい」

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