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白寿 水彩画と歩んだ半生

執筆者の写真: 東京黒百合会東京黒百合会

大谷敏久 銀座で初個展 10/15-20 銀座アートホール

 小学生の頃から水彩画に魅了されてきた99歳のアマチュア画家が、初めての個展を15日から東京・銀座で開く。東京都渋谷区の大谷敏久さん。

未だ道を究めていないと、個展は百歳になったらと考えていたが、昨年5月に体調を崩したこともあり、白寿の記念に開催することにした。

「私の絵の道がどこに到達するか、まだ分からない。でも個展は一つの節目になる」と期待を込める。 

 きっかけは小学三年の時、父親に買ってもらった水彩絵の具だった。「緑に白と黒を少し足す。割合を変えると、明るい緑、くすんだ緑、深い緑・・・どんな緑にもなる」。絵具の生み出す色の多様さ、その魅力に引き込まれた。

 絵画教室や大学の部活動などで身近な風景などを描いてきた。大手製鉄会社に就職後は、仕事の忙しさから絵を描く時間は減ったが、サラリーマン時代も絵に支えられてきた。

 米国への長期出張の際にはスケッチ帖を荷物に忍ばせ、疲れ果てた夜、ホテルの部屋の電気スタンドや窓からの風景を描いた。「寝る前に描くと安らいだ」。

 1985年に退職し、本格的に水彩画を描き始め、海外にも精力的に出かけた。

 20数年前、長女の岩田知子さんとフランス旅行中、大谷さんが観光地でスケッチを始めると、人だかりができた。知子さんは「外国の方に『絵が欲しい』とせがまれた。私も一緒に描いていたけど腕前の違いか誰もこなくて」と振り返る。

 大谷さんがこれまでに描いた作品は大小二千点。国内の公募展で入賞を重ねた。百歳になったら、記念に個展を開こうと考えていた大谷さんは昨年5月、脳梗塞で倒れた。視力低下などの後遺症が出た。大谷さんは倒れてから家族が個展を一年でも早く開いたらとせかすようになったと苦笑する。

 画用紙の一部をわざと塗らずに白く残したり、家から立ち上る白煙を丁寧に描いたりと、絵の中で白を大切にしてきたと話す大谷さん。

白寿の個展で、来場者からどんな感想を聞けるか楽しみにしている。

 個展では荒川上空を白い雲が流れる様子をダイナミックに描いた60号の作品やオーストリアの湖畔の静けさを表現した作品など水彩画50点を展示する。(梅野光春・東京新聞・10/11付夕刊から)



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