***個展&近況報告です***
笠木貴美子
あっという間に私のモチーフの順番が回って来てびっくりです。滝の様に時間が流れて行く感じがします。
近況と個展のご報告をさせていただきます。
1年前の今頃は、ハンガリーの博物館で開催される桜祭りに出す桜の絵を描いていました。絵を渡したキュレーターさんが発つ日に、ハンガリーがロックアウトになりそれ以降ヨーロッパでの展覧会はストップしています。書の各大公募展も中止されました。
その頃から夫の弱って行くのが顕著になり、
6月17日に永眠しました。教室が休みになりましたから、3ヶ月ずっと毎日家に居て彼と最後の日々を過ごすことが出来たのは今思うと有難いことでした。その後数ヶ月はあまり覚えていません。
7月に展覧会もしたのですが……。
11月に検診で異常が見付かり年末に乳癌と告知されました。可笑しい位怖くなかったです。最悪彼に会えるだけだし、私が入院しても寝込んでも誰も死なない。私が私だけの事を考えて手配するだけでいい。何も誰も困らない。こんな楽で良いのかしら、と思いました。
「TEXAS」(米・中部大平原の嵐の図)
書・「爰 笑 爰 生」
(ここで笑い ここで生きる)
2月に個展が決まっていました。検診で引っかかった後、最悪を考えて年内に二三を残して作品は完成させましたから、主治医の先生に「2月18日から個展を開催するので、それまでにキレイにして退院させて欲しい。治療&手術方針は、生き延びる為の最善の方法、でお願いします」と申し上げました。その後またコロナでいろいろありましたが無事に手術していただき、抜糸した2日後に個展の搬入をして開催しました。
どうしても開催したかった。私なりの夫への葬送であり感謝であり、再出発の表明の気持ちだったから。自粛期間中だし誰も来れなくても私と彼が見ていれば良いと考えていたのに、思いがけず多くの方々に御覧いただきました。初めての方々が多くいらしてくださいました。二度三度とおいでになる方、説明していないのに泣かれてしまう方々が何人もいらして、作品を受け止めていただけた、通じるように表現できたのかと感無量でした。今回発表した作品は私の極めて個人的な感情に依るものでした。
個展を終えて、真に個人によって受け止められる事は人類に呼び掛けるに等しい普遍性を持つのだ、との想いを強くしました。
私は間違っていなかったのか。このまま描き続けていいのかと思いました。
今、乳癌手術後の放射線照射治療に通っております。4月半ば迄かかります。
頑張ります!
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