福林紀之
やはり山の絵が好きだ。坂本直行さんの日高山脈の絵に北大時代魅せられた。
山里寿男という絵描きさんは勝沼の“ぶどうの丘”のてっぺんに立派なギャラリーを構えて山の絵を専門に描いていた。そこからは南アルプスや八ヶ岳の連山が甲府盆地越しに見られる。
日本アルプスの他、ヒマラヤの絵も沢山展示していた。ここを訪ねる都度、隣にある県営のワイン展示場で様々なワインを試飲できるのがうれしい。
坂本さんや山里さんの絵に似たものを一度でも描いてみたいものだが、とてもとても。
山の絵を描きたいが近頃は足腰が衰え、山登りは誠につらい。従って、最近はもっぱら平らな河川敷を歩く。背中には握り飯と、サッポロ黒ラベル一本。それにF3のスケッチブック。
昼飯を食いながら川沿いの景色を走り書きする。これが何ともいえず至福の時になる。相模川、多摩川、鶴見川、酒匂川、小貝川などがもっぱら遊ぶフィールドである。
上流から下流へぽくぽく歩く。河が終わり、海に出たときがこれまた何とも言えない気分である。
多摩川や鶴見川は東京湾の工業地帯へ出るのであまりよろしくない。
やはり相模湾に出る川がよろしい。川が海に接する場所は人工物がない。
空と海と大地が溶け合っている。そんな光景に出会うと、砂丘に腰を下ろして、缶ビールをプッシュと抜いてF3に落書きをする。スマホでNHKの“ひるのいこい”を聴きながら。
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