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執筆者の写真東京黒百合会

“絵そらごと”を楽しむ記

小石浩治

 ● ステイ・ホームの憂さを晴らしたく、11月に日曜画家展作品募集があると聞いて応募した。主催は横浜・馬車道商店街協同組合である。横浜“馬車道”は日米修好通商条約が結ばれると、貿易のため横浜港が開かれ、関内に外国人居留地が置かれたので、関内地域と横浜港を結ぶ道路の一つとして1868年に開通した。外国人はこの道を馬車で往来しており、その珍しい姿に人々は“馬車道”と呼ぶようになった。通りには銀行や商店が立ち並び、街路樹等西洋文化を取り入れた街に育っていった。日本で初めてのもの,例えばガス灯、街路樹、乗合馬車、アイスクリーム(あいすくりん)等がこの馬車道で生まれた。テーマは「文化の薫る みんなの馬車道」である。しかし浅草仲見世通り等のように、「通り」を「絵」にするのは難しいので、馬車道の場合は、どこか一点に絞るのが良策と考え、描いたのが下図(馬車道コーヒータイム)だった。

 作品の審査結果は手紙で通知を受けた。急いで開封したら 金、銀、銅の欄にはなく佳作にもない。がっかりして最後の頁を見たら、店舗賞として20名余が並び、中にやっと我が名を見つけた。 

● 表彰式は関内ホール、受賞作品をスライド映写しながら講評を行った。金、銀、銅の受賞者はホールの舞台に上がり、その他の受賞者は一般座席に間隔を置いて座ったので、図らずも「無観客試合」(テレビ画面)で見た空っぽの客席の雰囲気を実感した。

  審査員は横浜開港アンデパンダン展実行委員長宮崎和之、他、山手資料館館長、歴史博物館主任学芸員。金賞から佳作までの作品を舞台にスライドで映し出し審査員が受賞理由を話すという方式で、入賞者以外の人の講評は省略され、個別に「どこがいけないか」を聞けなかった。

● 講評を要約すると、90歳過ぎの人の作「金賞」「県立博物館」(旧・横浜正金銀行本店)は、馬車道を代表する建物だが、油彩(8号)で真正面から描き、特に歩道を歩く人、車の往来等、絵に情感がこもっているという。スライド写真講評のあと、今後制作に当っては、

〇テーマの「街の賑わい」を出すこと、人が居て、活気ある現場の空気感を表すこと。

〇 自分の気持ちを描き表わすこと。見る人にも感情が伝わること。

〇 絵は描かなくとも良い部分があることに留意すること・・所詮、「絵」は絵空ごとだから、絵(夢・希望・未来)を描いて楽しみ、人にも楽しんでもらうことが大切だ、描き続けていくうちにきっと夢が叶います・・と締めくくった。 今回、金・銀は手に入らなかったが、商店街の店長のお一人が、私の絵に「何かを感じて」一票投じてくれたことが嬉しかった。


    金賞作品 藤田浩作「県立博物館」(スライド写真)



 小石作「馬車道・コーヒータイム」


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