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執筆者の写真東京黒百合会

近代日本洋画の名作選展

小石浩治 記


 ― ひろしま美術館コレクション  

              (2021・5/15~7/4 於:そごう横浜・そごう美術館)    

“広島美術館は広島銀行の創業100周年を機に、「愛と安らぎのために」をテーマに設立されました。    

一枚の絵が人々の心を癒すと信じ、戦争で傷ついた人々のやすらぎの場になれば・との思いから広島市に1978年開館した私立美術館です“ 

(主催;そごう美術館、後援:県教育委員会、横浜市教育委員会)

 解説によれば、広島美術館の日本洋画コレクションは、明治時代の巨匠黒田清輝の作品を出発点に、それ以降の大正、昭和への歩みをほぼ俯瞰できる日本洋画の流れを辿る貴重なコレクションだという。

 初期の浅井忠やフランス留学の黒田清輝は、その後の近代日本美術の礎となり、近代洋画の父とされる。

 本展はその黒田に学んだ藤島武二、大正期の青木繁、岸田劉生、昭和期の安井曾太郎等の作品が並ぶ。画家34名出展総数約70点余。洋画の流れがよくわかる“ひろしま美術館展”になったと思う。

ざっと日本洋画の移り変りを振り返ると--------

 1.明治維新、明治初期

   イタリア人フォンタネージが工部美術学校で教鞭をとり、浅井忠や小山正太郎らの洋画家を育てた。

   一方、明治20年以降新時代に相応しい絵画の世界を模索している中、登場したのはフランスで10年留学生活を過ごしたラファエル・コランの弟子・黒田清輝だった。

 2.大正期

   黒田の滞欧作の明るい色調、自由な雰囲気の流れを受け、文展の権威に反する印象派に影響を受け、自己表現を追求した岸田劉生、梅原龍三郎が、個性的写実の傾向を深めていった。

 3.昭和期

   日本的油絵の方向が強まり複雑化した洋画の世界に安井曾太郎等、理知的な画面構成、写実を追求する作家、独自の存在感を持つ須田国太郎、小出楢重、中川一政らが輩出していく。一方、この頃の急速な都市化、関東大震災後の生活スタイルの変化は、ヨーロッパ美術運動が若い作家の心をとらえ、佐伯祐三、荻須高徳、小磯良平、林武、宮本三郎、鴨居 玲らが活躍する。



黒田清輝「白き着物を着せる西洋婦人」  1892年(明治25年) 


   

藤島武二「桃花裸婦」1902年(明治35年)頃                   



岸田劉生「支那服を着た妹昭子像」1921年(大正10年)



小出楢重「地球儀のある静物」1925年(大正11年)



安井曾太郎「画室」1926年(昭和元年)



岡 鹿之助「積雪」1935年 (昭和10年)                                                          


            

梅原龍三郎「裸婦」1936年(昭和11年)



鴨居 玲「白い人」1980年(昭和55年)


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