風景画は楽しい
清水全生(工学部土木45)
現役をリタイア後、東京黒百合会に所属して8年になります。会では展覧会、合評会等で会員同士がお互いの絵について意見交換をする機会があり、絵の巧い下手よりもお互いの絵を認め合い、自由な雰囲気で絵を楽しんでいます。
私は、教養時代に美術部黒百合に入部し初めて油絵の風景画を始めました。しかし、当時は興味の対象が種々変わり、特にスキー、麻雀等に忙しく、肝心の絵の方は熱心ではありませんでした。
その結果、初めての展覧会では稚拙な絵の出品となり恥ずかしい記憶が残りました。それ以来、徐々に絵から離れ、学部移行後、社会に出ても伝統ある美術部黒百合に在籍していたことは封印していました。そんな落ちこぼれ部員でしたが、リタイア後、紆余曲折を経て絵を再開しています。
「第2試験農場」油彩
今は、絵の魅力に嵌まり、日常生活が絵を中心に廻っています。会の先輩達の指導、助言も得られ、若い時代に失ったものを取り戻そうと専念しています。
東京黒百合会は先輩達が苦労を重ね、昭和31年の第1回東京黒百合展から他大学のOB会と比べても例が無く歴史を継続しています。
現在は、コロナ禍で一時中断していますが、毎年春、秋開催の展覧会等が主な行事です。同時期に年2回の一泊写生会を継続しています。私はこの写生会の幹事を先輩から引き継ぎ、関東近郊で15人前後の参加者と共にスケッチ旅行を企画し、楽しんでいます。
「谷川岳遠望」油彩
風景画を描く人はいつも題材探しに苦労しています。私は、足腰の元気な内に海、山、川等の絵になる風景を探し、色々な場所に出かけたいと思っています。
写生会では各人が昼間にスケッチ、彩色した絵を夕食後に持ち寄り、酒とつまみ付きで意見交換する合評会をやります。楽しい絵の議論は白熱し、夜が更けることを忘れるのが常です。
昼間、同じ場所で同じ風景を見ていても、いつも各人の異なる絵が出てきて感動します。同じ風景でも描く人の目線、構図、遠近感の取り方等により違いますが、その場の空気感も含めて、風景の何をどの様に受け止めたか、各人の感受性の違い、豊かさを気付かせてくれます。と同時に絵が巧い下手は関係ないことも分かります。
この写生会及び合評会は、各人の絵をお互いに対話しながら興味深く眺められ、風景画がより一層、楽しいと感じられる一時です。
皆さんには、巧い下手を気にすることのなく自由に絵が描ける写生会の参加及び東京黒百合会への入会をお待ちしています。
コロナ禍で過去2年間、会のすべての活動は中止でしたが、来春には、再開できることを期待しています。
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